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レーザー加工機の高効率活用:内製化のご紹介

レーザー加工機のイメージとして、既にある商品に刻印をするような後付けで付加価値を付けるイメージがあると思います。

 今回はご利用いただく企業様で聞いたり、Podeaでも実践している内製化という視点で作例をご紹介いたします。

使用機種:Runcer10 (10Wモデル)
使用素材:透明アクリル板 5mm厚
加工時間:約22分
使用ソフトウエア CorelDRAW 2019 for Mac

exsample_image.jpg

今回はStella C10用に透明なフロントパネル(ドア)を作成します。

一発で完璧な設計をするのは難しいです。時間をかけて設計して社内レビューして・・・何回も試作をしますが社内加工なのでとりあえず端材で試作してみましょう。(端材は3mm厚)

ひとまずCADで作りたい物の形を設計します。SolidWorksというソフトからDXFファイルを出力し、CorelDRAWで読み込ませて

最終加工データにしていきます。

CADデータは穴の中心を示す補助線とかがついているので、このようなデータは最終加工データから削除しておきます。

加工データの編集

端材加工後取り付けてみると・・・

試作途中でネジ位置の変更があってズレてる・・・

ということで追加加工​。

どんどん穴が増えますが端材なので気にせず追加加工。

位置合わせテクニックを使うとレーザー加工での追加加工も簡単です。これについては別の機会に。

試作 追加加工

品質を上げる一工夫

試作と形状確認はばっちりokになりましたが、アクリルをハニカムテーブルの上に直接置いて加工すると

あまり良い加工結果が得られません。

写真を見ると赤矢印の部分で周期的に切断面に傷がついているのが分かると思います。

これはレーザーの光がハニカムテーブルに当たり、ハニカムテーブルから反射した光が原因です。

最終製品用に加工する時にはこの傷が出来ないように加工する必要があります。ここではとても簡単な方法でこの傷を

​回避する方法をご紹介します。

レーザー加工に伴う傷の例

反射する光が傷の主な原因です、その他溶けたアクリルのガスが素材の近くで滞留する事によっても傷がつきます

これらの問題を回避するにはシンプルにアクリル板が浮いた状態で加工する必要があります。

浮かせる高さはおおよそ5~10mm程浮かせるとほぼ反射の影響がなくなります。

Podeaで使用しているハニカムに合わせて矢印のような部品を作成してみました。この部品をハニカムテーブルに挿しこむと・・・

これだけで素材を簡単に浮かすことができます。

​このデータはSVGファイルでこちらから自由にダウンロードできます。

アクリルの傷発生対策部品

万全の下準備をして最終材料をセットしたら、あとは機械に任せて加工が終わるのを待つだけです。

何事もなかったかの様に綺麗に仕上がりました。

​ちょっとしたテクニックですが、明確に加工しない領域に作成した浮かせる部品を挿しこんでおくと加工終盤で

加工物が落下しないで済みます。

​落下すると加工位置がズレたり色々問題があるので、可能な限り支えを付けておくとよい結果が得られます。

​金具を付けてこの段階での完成度を見てみました。特に寸法・穴位置問題なく仕上がっています。

傷対策部品を使い加工完了
製品をくみ上げ

気軽な繰り返し試作と試作完了までのスピードUP

組み立てて最終製品に組付けてみました。

とても良い感じです。
 

加工自体は試作含めトータルで35分程度です。

最終的に作る場合はRuncer10で1枚当たり22分。

(参考:Runcer30ならば8分ほど)

気軽に試してみてダメならどんどん試行が出来るのは

レーザー加工機の大きなメリットです。

今回は試作終了まで1日以内で完了し

そのまま生産にも入れます。

とにかく早くスピード感があります。

参考までにミスミさんのサービスでの自動見積で

いくらで作れるか、どのぐらいで作成できるか調べてみました。

税込みでだいたい4200円、届くまで約4日となります。

試作を何回もやるとそれだけ初期費用がかさみますが、

レーザー加工なら素材費用だけで気楽に試作を最速で繰り返せます。

製品最終実装

内製化による強烈なメリットと投資費用の回収

内製化は金銭的にどのようなメリットがあるでしょうか。

アクリル板の素材費用として仕入れ量にもよりますが、今回は税・送料込みで1000円程でした。

ミスミさんで1枚ずつ作成する場合送料込み税込みで4200円です。

社内工数は色々あると思いますので割愛しますが、この時点で3200円の差額が生まれます。

受注生産でもし1枚ずつ作る場合はこの差額が常に生まれ続けます。

トータル100枚作った場合 3200*100=32万円もの差になり、レーザー加工機の投資費用の大部分が回収出来ます。

もちろん、複数枚一気に作ることで外注でも価格を抑えることは可能ですが、急な設計変更や破損に伴う1枚だけ追加で欲しい・・・という場合その一枚を作成するために単価が大幅に上がってしまう事が多々あります。

結果的に余分に在庫したり最悪は破棄したりする必要が出てきます。

数を揃えると一時的に出ていく資金は大きく、在庫として保持すると財務上棚卸在庫(現金扱い)として計上する必要があるため、経営的に見ても見えないコストが大きくなっていきます。

内製化は社内工数がかかりますが、ほぼ無在庫で出来るという最強かつ最大のメリットがあるのです。

ミスミさんの自動見積もり例
Runcer10 都度生産での差額メリット
Runcer10 棚卸始点での内製化メリット

金属管レーザー発振器による安定した生産

今回の作例で使用したRuncer10は金属管で、本来はマーカー(彫刻)向きの低出力レーザーです。

本来は切断は苦手なのですがそれでも5mm程度のアクリルなら十分加工が出来、ガラス管とは比較にならない程

長時間の切断加工に対応します。基本的にノンストップで加工が可能です。

圧倒的に長期間安定した出力が得られるため内製化と組み合わせることでビジネスと非常に相性が良く、コストを削減し、競争力を高めるとても有効なソリューションです。

 

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