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アクリルスタンドの作成

コンビニの店頭でアニメキャラクタのアクリルスタンドが販売されていました。

手のひらサイズで2000円を超えていましたが、アクリルスタンドを作るには非常に高額なUVプリンタを使用ますので版権・販売店・流通を考えるとやはり現実的な価格と思いました。でもお手軽でいいので作ってみたいなというのが今回の作例の発端です。
位置合わせをどうするかという技術的な問題があり、その解決手法を開発しましたのでその実証も兼ねた作例となっています。


加工内容

使用機種:RuncerMini(CO2 10W)
使用素材:3㎜厚アクリル(キャラクタ部) 5㎜厚アクリル 極厚フォトプリント用紙 スプレーのり55


加工時間: 1体あたり約5分(キャラクタ部・台座部合計)
使用ソフトウエア CorelDRAW・Gimp

お手軽アクリルスタンド

加工データの作成

今回は女騎士系のイメージでデータを準備しました。
キャラクタの形状に沿って切り抜きたいので画像ソフトで色のついているエリアを選択し10ピクセル程拡大して黒く塗りつぶした画像データをDRAWソフトウエアに持っていき画像を線データに変換すると簡単に輪郭データが作れます。
この輪郭データと台座に
差し込む部分の線データを合成すればキャラクタの外形切断データの完成です。

文章にすると3行ぐらいなのですが、少しだけ解説をブログ形式で作成しましたのでこちらもご覧ください。

ここで位置合わせに重要な三つの十字データを加工データに入れます。CorelDRAWとイラストレータで標準データとして提供予定です。
このデータを含めた状態で切断線を非表示にしてから写真用フォト用紙に最高品質で印刷します。

切断加工データの作成
アクリルスタンド加工データ最終

下準備

今回はなんちゃってアクリルスタンドですので、印刷したフォト用紙を3㎜の厚みのアクリル板に張り付けます。
3Mのスプレーのり55番がおすすめです。調査のため99番と55番を買ったのですが、今回の用途には55番が最適でした。

均一に印刷面にスプレーをしてアクリルに張り付けます。これで素材の準備ができました。

スプレー糊 3M 55
スプレー糊でフォト用紙をアクリルに貼り付け

実加工

最終的に加工したものが展示するものになりますのでアクリルは浮かして可能な限りきれいに、紙に焦げも少なく仕上げたいため
何パターンか加工パラメータを追い込んでから本番加工をします。今回はフォト用紙が分厚かった事、スプレー糊が均一に塗れていないようでアクリルと紙の密着性が低かったため切断部分のムラができていました。

​そのためちょっとオーバーカット気味の設定で加工をすることになりましたが、最終的には問題なく加工ができました。

レーザー加工そのものは短い時間で終了することと、後処理もほとんどなく台座に差し込むだけで完成です。

アクリルスタンド加工後写真
アクリルスタンド加工後 裏側

ちょっと技術的なお話

今回の補正方式は自動ではなくマニュアルで行います。

下記の写真のように印刷したデータにポインターを合わせて補正サンプルを取得するというひと手間はかかりますが、この位置合わせをきっちりやることで位置補正が中途半端な手法では実現できない高度な精度で補正を行うことができます。

位置合わせ写真

今回採用した補正手法は計算量と複雑さは高いのですが、行列演算方式を採用しています。

この方式のメリットは印刷機器側の都合で印刷サイズが多少変動してしまったとしてもその変動を吸収・対応できる点にあります。

特に写真等では印刷物の絶対的な精度でのプリントが難しいパターンがあるようですがそれに対応できます。
下記の写真は検証中に撮影したものですが、わざと少し大きなサイズで印刷して元のデータはそのままで補正処理だけで切断線を追従させてみました。問題なく追従できています。

行列演算方式のメリットは オフセット・回転だけでなくスケール(拡大縮小)にも対応できるのが大きな特徴です。
最後まで補正方式は悩みましたが結果的に柔軟性と実用度の高い補正ができました。
この機能はもう少しソフトウエアのほうを調整して使えるようにするためリリースは少し先(2023年11月中旬予定)ですが
標準ソフトの一部として提供される予定です。

サイズ違い補正対応例

Podeaの基本スタンスについて

様々な製品が凄いスピードで進化しているようにも見えるレーザー加工機ですが、根本的に重要な部分は変わりません。

Podeaの機械にもカメラ搭載も検討した時期もありますし、カメラとAIを組み合わせて自動補正機能等パッと見た目には魅力的な機能を搭載している製品も多く見てきました。
しかしながら実際に使ってみたり設計してみたりユーザーの話を聞く限りでは安価な価格帯の商品では満足いく精度は難しいと感じていますし、実質そういう精度に関する相談をかなりの頻度で受けていました。

ぱっと見革新的に見えても、本来持っている機械の性能を生かせない状態になる場合はPodeaは採用しません。

何か良い方法はないものかと検討した結果今回の作例の手法にたどり着いています。

Podeaは基本的に日本国内で活動しており海外の販売者のように販売して終了というわけにはいきません。
これからも着実に一つ一つを積み上げ、改善と実績を積み上げていきます

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