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金属管モデルへのアップグレード

Podeaレーザー加工機の一部機種はアップグレードが出来る構成をしています。


今回のお客様はZEROシリーズのPrimoというガラス管を搭載したモデルのお預かりです。

Corsaという金属管搭載モデルに変更が出来る機種なのですが、販売時期的にも寿命的にもガラス管の寿命が来る頃です。

メンテナンス時に再度ガラス管を選択されるお客様も多いのですが、

金属管にアップグレードされるお客様もいらっしゃいます。


せっかくですのでどのような流れでアップデートが行われているか、アップグレード作業をブログ記事として作成してみました。


受け入れ時の撮影・状況確認


Primo 作業前写真記録

作業記録も含めて全体を撮影していきます。

全体的にメンテナンスが良くされている印象の機体です。






作業前記録 ハニカム

ハニカムテーブルを見る限り、全域にわたってものすごく活用されてる印象です。


ただメンテナンスは非常によくされているようで光学部品周りのコンディションはとても良い状態でした。

かなり状態が良い機械なのでアップグレードも比較的簡単にできそうです。




Primo作業前記録後ろ

作業前に全体的に写真を撮影します。

水冷方式なのでホースが見えます。







作業前記録、内部

中身を空けて状況を確認します。

といっても、ガラス管から金属管モデルへの移行は(電気関係の)85%以上の部品が交換されます。


そのため実質ほぼ全とっかえとなり工数だけで見ても結構な作業になります。




この時点で明らかに費用や工数が掛かる部分の交換費用は別途お見積もりとなります。特に普段のメンテナンスをされていない場合は費用が掛かることがあります。

今回の機体はそのようなところがほとんどなく、通常の無償オーバーホール+アルファのサービスを実施させていただきました。


発信機アップグレード時の簡易無償オーバーホールは下記のような内容が含まれます。


1)ベルト・駆動部分・ベアリング等の交換

2)各部清掃・部分的な消耗部品の交換

3)設計改善に伴うマイナーバージョンアップの実施


今回マイナーバージョンアップについてですが、レーザー加工機の中に送り込まれる圧縮空気の一部をフィルタを通して第一ミラーユニットに送り込んで保護をするというマイナーバージョンアップがあります。こちらも無償にてアップグレード対象となっています。


マイナーアップグレードの例

CPUボードも本来は交換不要なのですが、マイナーバージョンアップでアナログ式の温度センサから安定度の高いデジタル式に更新されている等の各種変更があるため無償アップグレードが実施されています。


一部板金の変更


ガラス管から金属管に移行するために板金の一部が交換されます。最小限の変更で済むように設計されていますが、少しずつ設計も更新されており最新のデザインではこれらの板金交換も不要なように変更されています。


取り外された部材は万一の何かの時のために保守部品として保管されます。

(何かの不測の事故等でどうしても価格を抑えて部品交換したい等の対応に使用されます)

SDGsとはちょっと違いますが、無駄な物を最小限に資産を最大限再活用するというPodeaの思想がここにも表れています。

交換板金


分解・換装


部品を全部外した後の光景

今振り返ると

設計が古い・・・と思いつつも

基本的なアップグレード作業は支障なく進みました。


ほとんどの電気関係部品を取り外し、ベルトなどの消耗品も取り外し、清掃後に一気に

CPUボード・電源・レーザー発振器等を組付けていきます。


普通に組み立てるより工数がかかり、注意点等も多いため一番組み立てに精通した人員2名で集中して作業を行います。

分解~簡易清掃~アップデート・全くみ上げ後の光軸調整まで、トータルで約10時間程かかります。

集中して作業してたため写真は残っていませんでした・・・スミマセン。



光軸調整

組み換え・アップグレード後は光軸調整です。

手慣れた人であれば30分~1時間。経験がない状態でトレーニングを受けないで作業すると何日かかっても調整できません。光軸調整移行は下記の流れで作業が行われます。

1)光軸調整

2)テスト加工・48時間静置

3)光軸確認・テスト加工・48時間静置(再)

4)光軸確認・テスト加工・出荷検査


機械ですので組み立てた後のネジのゆるみや機械内構成が変わることによる重量バランスの変化・歪み等が必ず発生します。必ずこの”静置”期間で安定性を確認する作業が入ります。


この4~5日”ほとんど何もしないけど安定を確認する”時間を取ることで出荷後に光軸がズレてやり直しをするといった問題を回避しています。


修理やアップデート時にどうしても時間が掛かるのですがこの”静置期間”が主な要因です。

もちろん新規出荷の時もこの静置時間が掛かりますので、即日出荷できるわけではありません。


光軸調整が完了後加工エリアの4隅と全体的な加工状況の確認を行い出荷検査~梱包~発送になります。


検査・梱包・出荷


CPU交換後の初期化・補正

機械を制御するCPUボードの中には機械1台1台の補正データが含まれています。

今回はCPUボードを交換したため、加工原点位置情報を新しいボードで登録します。








基本的な検査ポイント

基本的な検査として光軸があってる状態で

4隅と中央でレーザーの光が適切に届いて加工できる状態になっているかを確認します。






テストショットの例

具体的にはアクリル板にテストショットでレーザーを短い時間打ち込み、レーザーが貫通した痕跡が適切な形状・角度を有しているかを確認します。

加工エリアが大きいモデルはある程度の機械の癖があり、加工エリア全体を完璧にするのは難しいため全体のバランスをみて最良の状態になるように全体を調整していきます。




彫刻・切断テストの例

加工エリア全体的に加工したりピンポイントで細かい加工をしてみたり、様々なパターンでテスト加工を行います。


特に切断加工だけではなく彫刻加工は機械のコンディションが良くないと簡単に加工品質が落ちます。

この彫刻加工はフォーカスツールのデータですが、見慣れた小さい文字を彫刻と切断加工を一通り行い機械コンディションを確認しています。



作例で使用してより実践的な動作テスト

上記以外ではタイミング等が合えば作例の加工を行ったりすることでより実践的なテスト加工を行うことがあります。

今回は竹スダレとトレーの作例に使用させていただきました。





全てのテストと出荷検査が終了した後、清掃・各種記録(日時・温度その他)記録撮影等を実施して梱包・出荷が行われます。


アップデート対応・・・結構大変です


内部構造の写真もあるため、一部は伏せた状態で公開させていただきましたが、おおむねこのような手順でアップグレードが行われます。


新規組立と、アップデートして金属管に組み上げる作業はどちらの方が楽かというと、実のところ新規組立の方が楽です。

長期間使用されて汚れた状態の機体を清掃・分解・整備しながら組付けなおしていくのはかなりの工数が必要です。


設計も事前に考慮することが多く、現実的には新しい機械を購入いただく方が楽で売り上げにも繋がります。


ただ、Podeaの思想としては世の中に多く存在する焼き畑農業的な商品ではなく将来的にもステップアップしていけるような構成をする方が最終的なお客様の利便性・利益・そして継続的な関係に繋がると考えています。


既にある資産を最大限活用し長く使っていただくというのはPodeaの思想の一つであり、信じる理想を追い求め前進してまいります。







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